医療はこれまでも様々なテクノロジーを取り入れ、いくつもの技術革新を受け入れ、その都度大きな発展を遂げてきました。
しかしこれまで取り入れてきた先端技術は、医療技術や検査精度向上に主眼が置かれた装置群が中心であったと言えるでしょう。
例えば、磁気共鳴画像装置やX線を利用したCTスキャンといったものがそれに当たります。

しかし現在注目されているテクノロジーはこれまで導入されてきたものとは違い、医療サービスそのものの品質向上やホスピタリティ向上に主眼が置かれているものが中心です。
取り分け注目を集め、導入が進んでいるのが医療現場におけるICT(情報通信技術)を活用したサービス群です。
電子カルテシステムや、遠隔治療システムはICTを活用したソリューションの代表格と言えるでしょう。

こうしたICT技術を貪欲に取り入れ、経営のスリム化やホスピタリティの向上を図ることは当然の流れとなっています。
そしてその潮流は、ここ日本でも活発になっているのです。現に厚生労働省からも、2016年3月に「医療分野におけるICT化の徹底について」が発表されるなど、国の意向として推進していく機運が高まりを見せています。

しかし、そうしたICTの活用による利便性の向上の裏には、思いもよらぬ落とし穴が待ち受けていることもあるのです。
今回の記事では、テクノロジーの発達によるメリットに隠された弊害や、ソリューションを提供している企業による暗号化技術を利用したセキュリティについてご紹介いたします。

医療現場でのテクノロジー発達は利点だけでなく弊害も

先ほども述べましたが、テクノロジーの発達により開発された製品群は、医療の現場に大きなメリットをもたらしてくれるものです。
しかしそうした製品を導入する場合は、相応の弊害があることも熟知しておくべきでしょう。
ICT技術を活用したツールの代表格といえば、クラウド電子カルテに他なりません。

電子カルテの登場は、これまで紙で運用されてきたカルテの使い勝手を一変させる程のインパクトを医療業界に与えました。
患者の受診歴や既往症、処方の履歴といった各種データを簡単に検索・一覧表示できるだけでなく、遠隔地にあっても医療施設内と同等の使い勝手を実現できたり、最新の医療情報をキャッチアップすることも簡便です。
またカルテ保管のスペースが不要であることや、受付から会計まで、全てのデータを一気通貫で保存しておくことによる、経営のスリム化も見逃せないメリットでしょう。

これらは全て、情報のデジタルデータ化と通信技術の発達が大きく寄与しています。
しかしこのメリットの裏側には、大きな弊害が発生する可能性が隠されているのです。
デジタルで保存した情報を通信に載せるということは、利便性と同時に情報漏洩の危険性を招き入れてしまいます。

2017年に起きた医療現場の情報漏洩事件

インターネット上で散見される、情報漏洩に関する事件を独自に調査したところ、2017年に日本の医療期間で発生した情報漏洩事件を複数見つけることがきました。
データを機密情報を保存していた記憶装置の紛失といった、ヒューマンエラーに起因する漏洩が中心です。
そうしたヒューマンエラーの発生は、機密情報のデータ化により、USBメモリのような小さな機器に大量のデータを保存することが可能になり、施設外へのデータ持ち出しが簡単になってしまったことに起因しています。

また海外では、医療機関のシステムがウイルスに感染してしまい、電子カルテシステムがダウンすることで、サービス提供に大きな影響が出たという事例も発見できました。
こちらに関しても、医療施設に導入されているパソコンやシステムが、外部ネットワークに接続出来ることが根本原因であると言えるでしょう。
これらの問題は、ICTを活用したシステムが、宿命的に抱えている問題とも言えます。

電子カルテの不正利用などをセキュリティにより防ぐ

これらの問題は解決することが難しく、データを完全に守りきることは不可能とも言わざるを得ません。
しかし、そのリスクを極限まで低減させることは可能です。ヒューマンエラーに起因する漏洩に関しては、院内からのデータや危機の持ち出しに関する規定を定め、適切に運用すれば、情報漏洩はそうそう起こりません。

また悪意のある第三者からの電子的な攻撃による漏洩は、ネットワークセキュリティ機器を導入し正しく運用することで、そのリスクを大きく下げることが可能です。
新しい時代にマッチした情報セキュリティに対する意識を持ち、必要な投資を惜しまないことが肝要と言えます。

セキュリティに利用される暗号学(暗号理論)とは?

最後に、現在のネットワークセキュリティの根幹を成す、暗号理論についても言及しておきましょう。
暗号理論は暗号学の分野に属し、情報セキュリティ業界において、最も重要視されていまる理論です。
この暗号理論をデジタルデータの保管に応用することで、保存されているデータを暗号鍵を持たない第三者には解読できないようにすること(データの復号化)ができます。
こうした技術を採用することで、Webページを介したデジタルデータの送受信や電子メール、電子カルテのデータを保護しているのです。