近未来の医療を紐解く―医療におけるAIとビッグデータ

AIという言葉はご存知でしょうか。昔はSF小説に出てくる程度の夢物語のような現実感のないものでしたが、近年急速に進むテクノロジーの発展に伴い、俄かに現実味を帯びてまいりました。
AIは既に様々なシーンで活用されており、我々も知らず知らずの内にAIを活用して日常生活を送っているのです。

例えば最新スマートフォンのほとんどの機種には、既にAIが搭載されています。
Apple社のiPhoneに搭載されているSiriや、人気のスマートスピーカーである、AmazonのEchoシリーズに搭載されているAlexaなどもAIです。
またどこの家庭にも存在する、Windowsパソコンも、CortanaというAIを搭載し、利便性を高めています。

こうしたAIの普及は、普段の生活を便利なものにするだけのものではありません。
医療の現場にも、非常に大きなメリットをもたらしてくれるものなのです。

医療AIの登場で患者の治療が4倍早くなると言われている

医療用AIの能力は非常に高く、うまく活用することで患者の治療計画を4倍早めることが可能と言われています。
2014年に米Google社に買収された、英Deep Mind Technologies社とロンドン大学が2016年に提唱した、がん治療にAIを導入する計画は記憶にも新しいのではないでしょうか。
放射線を用いて行われる頭頸部がんの治療は非常に難易度が高く、がん細胞周辺組織の状況を収集した画像やデータから適切に把握し、健康な組織に悪影響を及ぼさないよう、放射線を当てる部位や量、方向や回数を綿密に検討する必要があります。

この作業は非常に難易度が高く、現在用いられている技術では、治療計画の立案に平均4時間が必要です。
しかしこの計画立案にAIを利用すれば、過去700の事例を多角的に分析し、適切な治療計画の立案にかかる時間を、1時間に短縮できたと言います。
高水準なデータを集め、AIに深層学習をさせることさえできれば、あらゆる疾病に対し、同様の効果が見込めるということです。

ビッグデータ分析を行い予防措置を自動で行う

また医療計画だけでなく、未来の健康状態を予測する研究も進んでいます。
2017年8月、カナダのマギル大学から、医療用AIを活用することで、発症の2年前に認知症を予測するアルゴリズムを開発したと報告されたことはご存知でしょうか。
ビッグデータによる深層学習を経たAIは、過去の事例から未来の患者の健康状態を予測することができるというのです。

研究チームの報告によれば、その精度は何と84%。
医療用AIに関する研究が本格化してからの期間が浅いということを考えると、驚異的な成果と言って良いでしょう。
近い将来、医療業界におけるAIの利活用はますます進むことが予想されます。