今後医師はどうなる?テクノロジーと共に見る医師の未来

急速なテクノロジーの発達は、様々な職種の働き方を改革してきました。
その波は医療業界にも波及し、様々な機器の導入が進んでいます。
センサーの精度向上によるウェアラブルデバイスの発達や、取集したデータを使用し、ディープラーニングを経たAIによる診断補助。
クラウド技術や高速無線通信技術の進歩を生かした遠隔治療など、一昔前までSFの世界と断じられていたテクノロジーが、次々と実現しているのです。

医師が必要であることに変わりはない

医師の皆様の中には、こうした実情を知り、医師が不要になる未来は近い、とお嘆きの方も多いとお伺いしました。
しかしどれほどテクノロジーが発達したとしても、医師が不要になる時代が到来することはありません。
確かにこれまで医師が担当していた業務の一部は、ウェアラブルデバイスとAIが賄ってくれるようになるでしょう。

おそらく、画像やセンサーで取得した患者のバイタルデータを基にした診断や、予後予測、治療計画の立案といった業務は、AIが担当することになります。
実際にIBMが開発した「ワトソン」というAIに、血液腫瘍に関する2,000万件以上の研究論文と1,500万件の治療薬の特許情報を学習させたところ、わずか10分で遺伝子変異のある白血病の治療薬を確定したそうです。

同様の作業を医師が人力で行なった場合、通常2週間はかかる作業だと言います。これは東京大学医学研究所から発表された報告です。
これほどの性能を誇るAIであっても、その判断の基準となる学習データがなければ、何の診断も下すことはできません。
そしてそれらのデータは、医師の経験や知識から生まれるものであることは明白です。

AIなどのテクノロジー技術はあくまで補佐

このようにどれほどテクノロジーが発達しても、AI単体で治療を行うことは不可能と言って良いでしょう。
急速に発達する医療テクノロジーは、あくまで医師の判断を手助けするための補佐役にすぎません。
どれほどAIが正確な診断を下したとしても、AIの言う通りに治療を受ける患者はほとんどいないでしょう。

未来の医師は総合能力とコミュニケーションスキルが重要視される

AIの導入により、医師が不要になることはありませんが、医師の働き方は大きく変わることが予測されます。
まずこれまで膨大な時間を費やしてきた、単純な診断にかかる時間が大幅に短縮されます。
また医師個人が保有してきた大量の医療に関する知識やデータ、それらを基に行なってきた統計処理等も不要になるでしょう。それらはAIの仕事です。

未来における医師の仕事の中心は、診断や治療計画立案の先にある、患者とのコミュニケーションが主になります。
AIが弾き出す回答は、常に効率的ですが、患者の価値観やバックボーン、生活事情といった要素は考慮されません。
そうした人間的な判をが必要とする部分こそが、医師の仕事となるでしょう。
ある意味では、高度化しすぎた現代医療において置き去りにされている、患者に寄り添うという、医師の本来の仕事に立ち戻っていると言えるのかもしれません。