高齢者や障害者の生活を向上―最先端の再生医療とその将来性について

最新の医療テクノロジーを語る際、再生医療を避けて通ることはできないでしょう。
現在世界中で研究が進んでおり、実験段階ではありつつも、実際は既にいくつかの事例を重ねているということはご存知の通りです。
この記事では、未来の医療を語る上で重要なポジションを占めている、再生医療の現在とその展望についてご紹介いたしましょう。

再生医療とは?

当たり前の話ですが、これまでの医療において、事故ないし手術に伴う切除が原因で欠損した人体の一部が、元どおりに戻ることはありませんでした。
しかし再生医療の研究が進めば、欠損した部位を元どおりに修復することが可能になります。
現在研究が進められている再生医療の手法は大きく分けて2つ。

作成したクローンから必要な部位を取り出し移植するか、細胞から必要な部位を培養し移植するかのどちらかしかありません。
中でも大きな期待が寄せられ、現在の研究の主流となっているのは、iPS細胞やES細胞に代表される、多能性幹細胞から必要な部位を培養する手法です。
しかし実際に最も研究が進んでいるのは、体性幹細胞(組織幹細胞)を利用した臨床研究と言われています。

身体を構成する様々な細胞に変化できる分化能と事故複製機能を持つ幹細胞を利用した再生医療は、理論上全ての細胞を作り出すことができるのですが、安全性の評価に対する課題を拭いさることができていないのが実情です。
それに対し、体性幹細胞を用いた再生医療では、患者自身の細胞を使用して再生医療を施すため、理論上は免疫拒絶反応が起きません。
またクローニングに関しては、倫理的な側面からの影響があり、一部の国以外ではあまり研究が進んでいないのが実情です。

失われた人体機能そのものを回復させる「根治療法」を実現させる取り組み

このままのペースで再生医療の研究が進めば、人類にとって長年の夢であった、根治療法を実現することができると言われています。
そしてその未来は、もう目の前まで来ていると言っても良いでしょう。なぜなら、既に実用段階に入ったと言っても過言ではない成果が続々と報告されているからです。

例えば、変形性膝関節症の患者に対し、患者自身の膝軟骨から取り出した軟骨細胞を培養し、シート化したものを患部に貼り付けることで、軟骨を再生させる効果が確認されています。
また2014年にはiPS細胞で作成した網膜を作成し、加齢黄斑変性の患者に移植するという確信的な手術が行われました。
手術は成功し、世界最初の成功事例となったことは記憶にも新しいのではないでしょうか。

再生医療の将来性は拡大の見込み

既にある程度の成果が出ている以上、再生医療の市場がその規模を拡大して行くことは間違いないでしょう。
しかし各調査会社の発表では、その規模感の推計にかなりの幅があるようです。
例えば2013年時点でシードプランニング社が発表した国内市場の規模推計は、2020年に950億円、2030年には1兆円、2050年には2.5兆円にまで拡大するという内容でした。

しかし実際の研究の進行状況や、メーカーの参入状況を踏まえた上で、現在の市場動向を確認すると、推計と比較してかなり立ち上がりが遅れています。
2016年に同じくシードプランニング社から発表された、2015年時点における再生医療の市場規模は約140億円。
内訳の9割ががん免疫細胞療法と美容領域が占めており、保険外診療が中心です。
再生医療の将来性は非常に高いものの、法整備が立ち遅れていることが大きなネックとなっているように感じます。